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CFOメッセージ

Vista2027の計画を着実に実践し、ステークホルダーとの対話を積極的に深めていく 取締役専務執行役員 CFO サステナビリティ・IR部長 大門 秀樹 Vista2027の計画を着実に実践し、ステークホルダーとの対話を積極的に深めていく 取締役専務執行役員 CFO サステナビリティ・IR部長 大門 秀樹

中長期的価値向上のため、ブレない財務・非財務戦略を実践していく

 ゴーイングコンサーンである企業の中長期的価値向上は、その経済的価値と社会的価値を両輪として捉え、市場や社会の期待に永続的に応える使命を負っている我々の責務です。CFOとして、当社の最重要経営指標であるROE(自己資本利益率)の目標を達成し、経済的価値を向上させることが重要なミッションと考えています。同時に、社会課題の解決に貢献しつつ、当社が今後とも持続可能な成長を実現し続けるための、サステナブル経営を推進することで社会的価値・貢献度を高めることも極めて重要です。

 投資家の皆様の関心は財務面だけでなく、ESG(環境・社会・ガバナンス)など非財務面についても高まってきており、現中期経営計画「Vista2027」では、財務・非財務の両面について、当社の目指すべき経営指標として等しく定め開示することとしました。2022年4月から新設されたサステナビリティ・IR部で、財務・非財務双方の視点からステークホルダーとの対話を積極的に行っており、今後も注力していきます。

 当社は、2000年代半ばからROEを最重要の財務指標としており、今後も不変です。資本効率の指標であるROEは、限られた経営資源を効率良く投入して、利益率の高い事業分野において不可欠な製品を生み出し続けるという当社の事業戦略に最もマッチする財務指標であり、投資家の方々からも分かりやすい単一指標として広く支持されています。

 2010年代初め以降、当社のROEは着実に上昇し、前中期経営計画「Vista2021 StageII」(2019-2021)では、16%以上維持を目標としていましたが、Vista2027(2022-2027)では、18%以上維持とさらに目標値を引き上げており、2022年度実績は19.4%に達しています。同業化学会社の平均値の約2倍の水準です。

 長期にわたる積極的な株主還元を実現してきましたが、この方針も継続します。新中期経営計画では、株主配当と自己株式取得を合わせた総還元性向は税引後当期純利益の75%を目標としており、2022年度実績は78%となりました。さらに、投資家の皆様のご意見も参考にしつつ配当性向は45%から55%に高めており、11年連続増配中です。なお株主還元に関しては、よくDOE(株主資本配当率)も議論に出ますが、DOE=ROE×配当性向であり、高いROEを維持している当社にとっては直接の目標にする必要はありません。

 

 また、事業を行ううえで必要にして十分な研究開発費を積極的に投じて、なおかつ潤沢なキャッシュを株主に還元することが当社の資本政策です。将来にわたって成長していくための研究開発費は売上高の7-9%を毎年投入していくことを目標に置いています。化学業界の平均が売上高の3-4%ですので、当社がいかに高付加価値製品を生み出すための投資に継続的に経営資源を投入しているか分かります。人的資源の面でも、総合職の約40%が研究開発要員(単体ベース)として配置されています。

 当社の営業利益率が2022年度で約23%と2003年度から20年連続で10%以上を維持している大きな要因が、こうした長期的視野に立ったブレない戦略にあると考えています。

 

10年連続で過去最高益を達成、対外的な評価も得た、2022年度

 2022年度の当社業績は、増収増益を達成し、営業利益・経常利益は9年連続、当期純利益は10年連続で過去最高益を更新することができました。同業他社の半数以上が減益決算だったのに対し、当社は、市場減速の影響を受けた機能性材料事業の減益を、好調を持続した農業化学品事業の大幅増益でカバーし、レジリエントかつバランスのとれた当社事業ポートフォリオの強みが十分発揮されたと考えています。

 ROEも中計目標の18%を上回る19.4%を達成しており、2023年6月には「JPXプライム150指数」構成銘柄に選定され、ROEと株主資本コストの差である「エクイティ・スプレッド」基準で優れているとの評価も受けたところです。

 こうした実績を上げる中、必要な成長投資も着実に行っています。インドNBRにおける農薬製造施設建設、韓国NCKにおける半導体新工場建設に加え、工場・全社ベースにおけるDX関連投資や研究開発費の増額など、重点分野への積極的な支出により、当社の将来に向けた持続的成長を確かなものとしています。

 外部評価でも高い水準を維持できました。2023年4月には米国大手金融情報誌Institutional Investorによる化学セクター「Most Honored Company」に5年連続で選出され、「Best IR Teams」第1位、「ESG Rankings」第2位 を獲得しております。

 最後に付言しますと、2023年3月に東京証券取引所が出した上場企業へのメッセージが話題を呼んでいます。中身は、当社も上場しているプライム市場上場企業の約半数がROE8%未満かつPBR(株価純資産倍率)1倍未満という状況を問題視しているものです。長年ROE向上を目標とし積極的な株主還元を継続してきた当社は、PBRも約4倍の水準となっており、企業価値の市場評価において他社との差別化が際立っていると言えます。

カーボンニュートラルに向け、サステナビリティ経営を推進する

 新長期経営計画「Atelier2050」の基本戦略の1つにサステナブル経営の深化を設定しており、2050年カーボンニュートラルの実現を目指しています。その実践として、2022年6月に気候変動対策委員会を設置しました。同委員会は八木社長を委員長として、当社の気候変動問題に関係する部門長で構成されており、深刻化する気候変動問題に特化して、リスクや機会の分析、評価、それに対する戦略と中長期計画、年次活動や目標を立案し、事業戦略に速やかに反映する役割を担っています。

 当社も賛同を表明している気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言では、気候変動に起因するリスク・機会が企業の財務にどのような影響を及ぼすかを把握するため、シナリオ分析を行うことを求めています。当社は2020年に、対象期間を2030年までとした定性的な2℃、4℃のシナリオ分析は公開していましたが、2022年度は気候変動対策委員会にて半年以上の期間をかけ、1.5℃、4℃シナリオを用いて気候変動に関するリスク・機会について、財務インパクトを含めた形で見直しを行い、対象期間も2050年までとしております。さらに、インターナルカーボンプライシング(ICP)の価格を見直し、今年度より本格導入しています。今後も外部環境変化を踏まえ、TCFD提言に沿った開示内容のアップデートや、ICPの見直しなど、気候変動対策委員会にて対応していきます。

 また、Vista2027では、当社グループのマテリアリティ「人々の豊かな暮らしに役立つ新たな価値の提供」において特定している製品・サービスを「日産化学サステナブルアジェンダ」の対象とし、目標を「全売上に占める割合55%以上維持」と設定しており、2022年度はこの目標を達成することができました。2050年に向けて、既存コア技術に加え、微生物制御、情報科学という新たなコア技術育成により、情報通信、ライフサイエンス、環境エネルギー、素材・サービスの4つの事業領域における対象製品・サービスのさらなる拡大を図ります。

 一方2022年11月、個々人の役割の明確化および行動評価の導入により、社員の力を最大限に生かす観点から、人事制度をメンバーシップ型の「職能資格制度」からジョブ型の「役割等級制度」へ改定しました。多様な価値観、キャリア志向を尊重しつつ、一人ひとりのキャリアデザインを支援するため、2023年度より、上司と部下の間で「キャリア対話」も開始しています。また、段階的な定年延長も開始しており、シニア層が活躍するための研修なども検討しています。

 今回2023年6月発表の有価証券報告書から、「サステナビリティに関する考え方及び取組」の章を新設し、推進体制、気候変動に加え、3つ目として人的資本の開示に関する記載をはじめています。詳細は同報告書をご覧いただきたいのですが、当社の人材育成方針と社内環境整備方針に関する主要項目の指標を掲げ、2024年度に向けた目標値も設定しています。

継続的に投資家との対話を深めていく

 当社は、定期的に機関投資家・アナリスト・メディア、および個人投資家向け決算説明会を開催し、事業概況を説明するほか、中長期の成長戦略やサステナビリティ活動についてもその取り組みを積極的に発信しています。

 2022年度は、5月に発表した中期経営計画の内容をより一層ご理解いただけるよう、事業説明会を実施しております(2022年6月:機能性材料R&D説明会、2022年9月:農業化学品事業説明会、2023年3月:ESG説明会)。事業部の説明会は、事業部長、研究所長をはじめ、事業部・研究所の担当者も出席し、中長期的なR&D戦略について説明を行いました。ESG説明会は今回初開催であったため、企業理念、長期・中期経営計画、マテリアリティ、日産化学サステナブルアジェンダ製品、知的財産戦略、人的資本まで幅広く説明し、いずれの説明会もおおむね好評を得ております。

 投資家の関心も非常に高い中長期的な戦略や、気候変動問題など非財務に関する取り組みについて、今後も適切な情報開示を継続していきます。

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