
サステナビリティ
レスポンシブル・ケア活動の継続的強化
生物多様性への取り組み
方針・考え方
社会経済活動の変化に伴い、国内外の生物多様性が損なわれてきたことを踏まえ、当社は、生物多様性が持続可能な社会の構築にとって重要であることをより深く認識し、国際社会の一員として、全ての人々との間で役割と責任を分かち合い、連携・協力して生物多様性の保全に資する行動を進めるために、「日産化学生物多様性行動指針」を策定しています。
日産化学生物多様性行動指針
当社グループは、当社の事業活動が生物多様性の恩恵に依存していることや、生物多様性に影響を与えていることを認識しています。「社会が求める価値を提供し、地球環境の保護、人類の生存と発展に貢献する」という企業理念のもと、生物多様性保全を重要な経営課題と位置付け、地球環境の保全に寄与するため、生物多様性に配慮した事業活動を展開します。
- 生物多様性に関する国際的な条約、および関連する各国の国内法等を遵守し、生物多様性の保全を推進します。
- 重要な生物多様性を有している地域の周辺で事業を行う場合には、生物多様性への負の影響の回避・低減や、保全・再生などに取り組みます。
- 製品サイクルにおける生物多様性への依存・影響およびリスクを把握し、負の影響の回避・低減を図ることで、生物多様性の保全、自然資源の持続可能な利用に取り組みます。
- 生物多様性保全又は回復に貢献する製品・サービスの提供に努めます。
- 啓発活動などにより、社員一人ひとりの生物多様性に対する意識向上に努めます。
- 社会から高い評価と信頼が得られるよう、生物多様性の保全に資する社会貢献活動を継続的に行います。
- 生物多様性への取り組みをより効果的に展開するために、行政機関、地域住民およびNGOなどと対話、協働を行います。
- 以上の取り組みの結果を公表し、社会とのコミュニケーションを深めます。
また、同様の取り組みをサプライヤーにも要請し、バリューチェーン全体で生物多様性保全に取り組みます。このような取り組みを通じ、ネットポジティブインパクトを達成するよう努めます。
改定年月日:2024年6月24日
取り組み
ビオパーク・ビオトープの設置・運営
当社は「生物多様性保全への取り組み」を「Vista2027」のマテリアリティ要素として選定しており、「日産化学本体工場におけるビオパークの設置・運営」を2027年度までのKPIとしています。日産ビオパーク西本郷に続き、2022年度には袖ケ浦工場と埼玉工場、2023年7月には小野田工場、2024年6月には名古屋工場にビオトープが完成しました。
・日産ビオパーク西本郷
「日産ビオパーク西本郷」は「失われた自然の回帰をテーマに、動・植物にとって生息しやすい水辺と里山林を中心とした生物多様性空間を作り、地域や工場社員の憩いの場とすること」を目的に富山工場が2008年10月から運営するビオトープです。
約2ヘクタールの土地に湿地、池、小川、芝生広場、花畑が配置され、地域や工場OB・OGのボランティアによって構成される「サポートチーム」の協力のもと、絶滅危惧種であるニホンメダカの繁殖やホタルやカブトムシの育成にも取り組んでいます。
また、近隣保育園の園児によるチューリップの花摘みや球根掘り、小学生による自然観察学習も実施しています。
2023年4月に、開園15周年を記念して「チューリップお花見ミニコンサート」が開催されました。日頃から施設の維持管理に協力いただいている、地域の住民の皆さん、当社のOB・OG、社員やその家族などから約100名にご来場いただき、地元の吹奏楽団による演奏が行われ、盛会となりました。
・袖ケ浦工場ビオトープ
工場内に新たな自然をつくり出す創出型ビオトープとして、場内にある小袖池周辺の緑地を整備し、野鳥を呼ぶためにヒサカキ、みかん、ソヨゴを植え、池の周囲には新たに水生植物の大賀蓮、花菖蒲、睡蓮、蒲などを植えました。本整備により自然に近い形の環境に変わりました。生物と触れ合えるこの新たな施設が、場内で働く一人ひとりの生物多様性に対する意識向上の場として、そして癒される空間になることを目指しています。
・埼玉工場ビオガーデン
2022年度、埼玉工場に新たにビオガーデン(ビオトープとガーデンを組み合わせた造語)が完成しました。里山の自然に近いかたちで、生き物の生育環境を整えた庭園です。
・小野田工場ビオトープ
2023年7月、小野田工場内にビオトープが完成しました。本施設は、元々工場中央部の広場にあった池を改修したものです。ビオトープは2つのエリアに分かれており、西側は様々な水辺の生き物が暮らせるエリアとして整備、在来種の生物を放流し、水中や池周辺に生き物の住みかとなるような石組みを行い、鳥や昆虫が好む実を付ける樹木を植えています。一方東側は従業員の憩いのエリアとなるように、池のほとりにテラスとベンチを設置し、四季折々の花が目を楽しませるような花壇を配置しました。池の主だった鯉もこちらで元気に暮らしています。蝶やトンボ等の昆虫や鳥類も多数飛来しており、賑やかになっています。
・名古屋工場ビオガーデン
2024年6月、名古屋工場の正面玄関前に「名古屋工場ビオガーデン」が完成しました。昆虫や鳥、魚や植物が生息し、自然と共生できる場所となっています。
ガーデンには、昔から植えられていたソメイヨシノに加え、スミレ、レモン、バラ科のシモツケなどの様々な植物が、ビオトープには睡蓮、アナカリス、ミナミメダカ、ヤリタナゴ、ヤマトヌマエビ、ヒメタニシなどの水生植物・生物が仲間入りしました。
ビオガーデンは歩道に面していることもあり、社員だけではなく、通行人など多くの方々に四季折々の移り変わりを楽しんでもらえそうです。
藤前干潟クリーン大作戦
名古屋工場では、2016年5月から社員、協力会社の皆さんの賛同を得て、工場の近くに位置し、ラムサール条約登録湿地である藤前干潟で行われているクリーン大作戦 (年1回・秋) に参加しています。
2004年に「ラムサール条約に恥じない藤前干潟にする」、「子供達が安心して遊べる干潟や川を取り戻す」、「流域全体のゴミや水のことを考えるネットワークを形成する」ことを目的に、4市民団体が行政、企業などと協働して「流域市民・市民団体による」クリーン作戦を行うために、「藤前干潟クリーン大作戦実行委員会」を結成し、活動が開始されました。
今後も生物多様性保全への取り組みとして、渡り鳥が長い旅の中継地として集う貴重な干潟の保全に微力ながら貢献していきます。
「黒浜沼周辺の自然を大切にする会」支援
埼玉県蓮田市のNPO法人「黒浜沼周辺の自然を大切にする会」は「さいたま緑のトラスト協会」のトラスト保全11号地に指定されている黒浜沼周辺の自然環境を守り、絶滅危惧種の育成などの生物多様性保全活動を長年にわたり行っています。
当社は2016年度より当会を支援し、例年、サステナビリティ・IR部 サステナビリティグループ (旧CSR・広報室)、環境安全・品質保証部および生物科学研究所から、当会が管理する蓮田市の環境学習館を訪問し、生物多様性保全に関して意見交換を行っています。
地域に根差した地道な活動を続ける当会を今後もサポートしていきます。
アーマンドバイユー自然センターメンバーシップ参画
生物多様性の取り組みを推進するため、Nissan Chemical America Corporationではアーマンドバイユー自然センター(Armand Bayou Nature Center, ABNC)のメンバーシップに参画しました。
ABNCは米国テキサス州ヒューストン、ガルベストン地域にある約10平方キロメートルの広さを持つ自然豊かな大草原や湿地帯および森林帯であり、都市近郊における最大の自然保護区域の一つとなっています。
約370種の動物が生息するABNCは、都市近郊での子供たちに対する自然体験の場としての役割も担っています。
身近な緑の保全・創出、水質の保全
小野田工場では山口県環境基本計画(第4次計画 2021~2030年)の第2章第3節 「いのちと暮らしを支える生物多様性の保全」の施策 「1 豊かな生物多様性の保全と再生に向けた取組の推進」の(7)身近な緑の保全・創出、(8)水質(清流)の保全に関連した活動を実施しています。身近な緑の保全・創出活動として、県道の植栽への参加、場内の緑化やビオトープの保全・整備を行っています。また、水質の保全活動として、有帆川沿岸の清掃を実施しています。
県道の植栽
有帆川沿岸の清掃
TOPICS:日産ビオパーク西本郷がビオトープ大賞を受賞
富山工場が運営する日産ビオパーク西本郷が、2022年6月17日に特定非営利活動法人 日本ビオトープ協会の主催する第14回ビオトープ顕彰において、ビオトープ大賞を受賞しました。
日本ビオトープ協会は、国内各地で続けられているビオトープづくりを一層広めるために、毎年度、模範とすべきビオトープの取り組みを全国各地区から募集して顕彰しています。顕彰されたビオトープを全国に発信することで、多様な生きものの生息環境が人々の生活にとって重要であることを伝えています。
今回のビオトープ大賞受賞には、日産ビオパーク西本郷において当社と地域や工場OB・OGのボランティアによって構成されている「サポートチーム」が協働して、ビオトープの運営に大きく貢献している点を高く評価されました。
サポートチームを代表して加藤氏が受賞