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サステナビリティ

サステナビリティの全体像

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挑む、変える、超える。変革に挑戦し続ける未来創造企業へ 代表取締役 取締役社長 八木 晋介 挑む、変える、超える。変革に挑戦し続ける未来創造企業へ 代表取締役 取締役社長 八木 晋介

はじめに

 最初に社長就任にあたって所信をお話しさせていただきます。

 私の社長としての当面の責務は、2点あると考えております。1点目は、今年が最終年度となる中期経営計画「Vista2021」を確実に仕上げることです。数値目標については着実に進捗しており、立ち止まることなく諸施策を実行してまいります。そして「Vista2021」の経営指標であるROE16%、総還元性向75%を必ず達成すべく邁進してまいります。

 2点目は、次期中期経営計画および2030年のその先を見据えて、視座を高めた新長期経営計画の編成に取り組むことです。当社グループの成長の鍵は、研究開発への経営資源の重点投入による新たな成長エンジンの創出、新規事業・新製品・新技術の企画探索と基盤事業の強化、そして人材の育成にあります。顧客の課題を解決してかけがえのない存在になること、さらに未来の顧客を探ることによってイノベーションを実現してまいります。

 大国間の覇権争いの激化や社会分断の危惧、さらにはコロナ禍など、社会構造が大きく変わりつつあります。混沌とした状況ではありますが、この社会の変化は化学が果たす役割の拡大をもたらし、私たちに機会を与えてくれます。この機会をタイムリーに捉え、ステークホルダーの皆様にとって価値創造の源となるよう変革へ挑戦し続けたいと考えています。現在の事業領域にしっかりと軸足を置きつつ、他社とのアライアンス、買収等も視野に入れ、新規領域の取り込みや拡大を図っていきます。そして今後の発展に向けた新たな事業の「礎」をつくっていかねばならないという緊張感を社員全員と共有し、次の100年もステークホルダーとともにある企業となるため、当社の将来像を社員一丸となって描いてまいります。

事業環境と現状認識について

変容する時代への適応がこれからの成長を左右します。

 2020年10月に政府が「2050年カーボンニュートラルの実現」を宣言したことで、多くの企業が温室効果ガス排出削減の取り組みを前倒しするなど、将来に向けた事業活動計画の見直しを進めています。

 素材は化石資源由来からカーボンニュートラルへ、エネルギー原料はバイオ燃料、水素、アンモニアなどの脱カーボン原料への置き換えが期待されています。また、資源、製造、貯蔵、流通、消費といったバリューチェーンにおける大きな転換が予想されるなど、事業環境が急速に変化していくと考えられます。

 これまでも当社は、温室効果ガス(GHG)排出削減に向けて、積極的な取り組みを継続してまいりました。2018年度には、GHG排出量を2021年度までに20%削減(2011年度比)する目標を掲げましたが、 2020年度に27%を削減し1年前倒しで目標を達成しました。

 また、長期的な目標として、2030年までにGHG排出量30%削減(2018年度比)を計画しており、政府が掲げる目標の達成に向けてさらなる努力を続けます。

 当社製品を通じたGHG排出削減への貢献については、保有技術を踏まえて国家プロジェクトへの参画、産学連携やアライアンスなど、社内外の知を融合して研究開発を進めることで、将来に向けてより多くの事業機会の獲得を目指していきます。

 また、スーパーコンピューターの性能向上や第5世代移動通信システム(5G)の普及拡大、人工知能(AI)の発展、コロナ禍におけるニューノーマル(新しい生活様式)の広がりなどによって、デジタル化および周辺技術の進歩がますます加速しています。さまざまなデータが個別に運用される従来の開発・製造・販売体制など、事業環境の急速な変化に対応するため、当社は経営基盤の構築に全力で取り組んでまいります。

2020年度を振り返って

社会全体がニューノーマルへ転換し、事業環境が厳しくなるなか、過去最高益を達成しました。

 2020年度の国内景気は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大幅なマイナス成長となりました。年度後半にかけて輸出は一部持ち直しの動きが見られましたが、個人消費は低迷が長期化するなど厳しい事業環境となりました。

 このような状況のもと、当期の業績は売上高2,091億円(前年同期比23億円増)、営業利益は425億円(39億円増)、経常利益は439 億円(39億円増)、当期純利益は335億円(27億円増)、EPS(一株当たり利益)は232 円(22円増)という結果となり、営業利益と経常利益は7年連続、当期純利益は8年連続で過去最高益を更新いたしました。

 2020年度の企業業績は、業種だけではなくそれぞれの事業内容によって好不調が大きく分かれました。当社グループはバランスの取れた事業ポートフォリオによって、全体としては善戦したと評価しています。これからも緩むことなく、さらに強靭な事業ポートフォリオを構築することが最重要課題であると考えております。

 セグメント別に前年同期比で業績を振り返りますと、化学品部門の上期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、基礎化学品、ファインケミカルともに減収を記録しました。特に自動車および住宅関連の需要減、学校プールの中止、温浴施設の休館等が大きく影響しました。下期は自動車関連と半導体関連の回復などで最終的に増益となりました。

 機能性材料部門はディスプレイ材料についてはスマートフォンのみならずタブレット、ノートPCや車載向けの高精細化が進み、IPS液晶用光配向剤の需要増で大幅増収となりました。また、半導体材料についても、リモートワークの推進に伴うPCおよびサーバーの需要増等により半導体市場全般が好調で、大幅な増収につながりました。無機材料についても、半導体市場の好調により研磨剤用途が増収となりました。

 農業化学品部門は2020年12月に米国のコルテバ社から買収した殺菌剤「ダイセン」が増収となったほか、水稲用除草剤「アルテア®」を原薬とする一発処理除草剤の第2世代「シグナス®」「天空®」等の新剤上市により増収となる一方、動物用医薬品原薬「フルララネル」は顧客の在庫調整の影響で減収となりました。また、前期に買収した殺菌剤「クインテック」、「ダイセン」の固定費の増加によって減益となりました。

 医薬品部門は、高コレステロール血症治療薬「リバロ®」用原薬が欧州で市場独占期間が満了したことから、輸出が減少したため減益となりました。

長・中期経営計画について

長期経営計画「Progress2030」の先を見据え、次期中期・新長期経営計画を策定します。

 現行の中期経営計画「Vista2021」StageⅡの諸施策は順調に推移しており、最終年度となる2021年度は目標達成に向けて最後まで取り組んでいきます。

 一方で、長期経営計画「Progress2030」は策定から5年が経過し、私たちを取り巻く環境は大きく変化しており、策定当時の前提が計画から乖離してきています。変化に的確に対応するためには、現状と将来を冷静に分析し、戦略を見つめ直さねばなりません。今年1年をかけて、2030年の先を見据え、2050年に向けた新長期経営計画を策定します。

 今後、急速に変貌していく未来をどれだけ想定のなかに組み込めるのか、成長戦略を描くのはもちろん、社会からの要請に応えながら企業価値向上のための施策を徹底的に追求していきます。

 そのための部門横断的な全社プロジェクトとして「経営計画策定プロジェクト」を立ち上げ、私と副社長がプロジェクトリーダーになり、次期経営計画策定への議論を本格的に進めているところです。

 また、これとは別に若手社員を中心として「2050年ビジョン」の策定にも取り組んでいます。これまでの延長線上ではなく、当社が保有する技術をベースに新たな事業領域の可能性を探索するとともに、さまざまな社会課題の解決を図ることにより、ステークホルダーに対する企業価値向上と社会的貢献の実現を目指してまいります。

未来創造企業実現に向けて

事業環境変化に強い事業ポートフォリオ構築を目指し、研究開発力強化と次の成長エンジン創出促進に取り組みます。

 当社グループにとって研究開発が競争力の源泉であるということは、今後も変わりません。そのための研究開発投資についても、2020年度の売上高研究開発費比率7.9%と高水準を維持しています。今後さらに研究テーマの質を向上させて効率的な研究開発を実現していくために、従来の研究体制に加えてデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するとともに、研究テーマへのAIの活用、自動化の推進、逆合成解析ソフトウェアの活用、デジタル人材の育成など、研究基盤の強化を進めていきます。2020年7月にはデジタル推進室を設置し、全社的なDXの加速に取り組んでいます。

 また、より強固な事業ポートフォリオの構築を進めています。特に新型コロナウイルス感染症拡大により、環境変化に左右されにくい事業ポートフォリオを築くことが、重要な経営課題であることがクローズアップされました。

 当社は事業環境変化に強い事業ポートフォリオの構築を目指し、研究開発力の強化と次の成長エンジン創出促進に取り組みます。

多様な人材が目標に向かって挑戦できる組織づくりに努めます。

 新長期経営計画のゴールとなる2050年に、働き手の中心となるのはミレニアム世代の次の「Z世代」にあたる人たちです。これまで以上に多様な価値観を持った人材が、会社内で協働していくことになるといわれています。社内での人材育成についても、こうした多様な意見や才能を、最大限に発揮できるような環境を醸成していくことが求められます。

 当社は2021年4月にダイバーシティステートメントを発表しました。これまでもダイバーシティ推進については取り組んできましたが、改めて明文化したものです。自由闊達な雰囲気のなかで多様な意見が発信され、個々の強みを活かすことで、組織として高いパフォーマンスを発揮できる、あるいはイノベーションの原動力となる環境を作っていきたいと考えています。

 また、人事制度の改革にも着手しています。「何ができるか」ではなく「何をやり遂げるのか」という役割に焦点を当て、仕事への意欲やチャレンジ精神を持った社員に対し、人事制度を利用して機会を提供していくことが狙いです。いわゆる単なる能力成果主義から、自発的に課題を設定し解決できる人材を活かせる組織づくりや人材育成に取り組んでいきます。

ESGやSDGsへの取り組みを深化させ、事業活動を通じて、社会の持続的な発展に貢献します。

 さらに長期的課題として、CSR経営の積極的推進があります。ESG(環境・社会・ガバナンス)および国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)を踏まえた社会課題解決への貢献が求められており、これから定める2050年の企業像を実現するために、取り組む重要課題を明確に設定していくことが非常に重要となります。

 当社は、2050年を見据えた次期経営計画において、ESGやSDGs等の社会的要請に応えるための施策を策定し、事業活動を通じて社会の持続的な発展に貢献します。また、KPI(指標・目標)を設定して、ステークホルダーに対して当社グループの事業活動について理解をいただくよう努めたいと考えています。

おわりに

 新型コロナウイルス感染症は、依然として終息の兆しが見えない状況です。また、対立が深まる米中関係など、今年度も引き続き先行き不透明な環境下で事業活動を行うことになります。

 こうしたなか、当社グループはいかなる局面においても「優れた技術と商品・サービスにより、環境との調和を図りながら、社会に貢献する」という企業理念に基づき、変化を適切に捉えて諸課題に対する施策を着実に実行することで、さらに強固な事業基盤の確立に努めていくことができると考えます。

 そして経営の健全性と透明性の向上、コンプライアンスの徹底、環境への一層の配慮、社会貢献活動をより強力に推進することで、すべてのステークホルダーの皆様から信頼される企業グループの実現に総力を挙げて取り組んでまいります。これからも皆様のより一層のご理解とご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

 

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