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サステナビリティ

サステナビリティの全体像

TCFD提言に沿った情報開示

TCFDへの賛同

 産業革命以降、石油や石炭などの化石燃料を多量に消費することによって、二酸化炭素などの温室効果ガス(GHG)排出量が増加し、地球温暖化が進行しています。地球温暖化に伴う気候変動により、豪雨や洪水などの自然災害の増加、食糧資源や水資源の減少、熱波による猛暑や感染症の発生など、人々の生活や生態系への様々な悪影響が増大することが懸念されています。

 気候変動の進行の緩和や脱炭素社会への移行に向け、2016年に発効されたパリ協定では、世界共通の長期目標として平均気温の上昇を2℃より十分下方に抑えること(2℃目標)と更に1.5℃までに抑えるよう努力することが掲げられています。

 当社はこのパリ協定を支持し、「気候変動の緩和」をマテリアリティ要素のひとつと位置づけ、長期の GHG 排出量削減目標 「2030年度までに2018年度比30%削減」を掲げ、取り組んでいます。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures: TCFD)の提言への賛同を表明しました。TCFD提言では「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの開示推奨項目が設定されています。投資家を含むすべてのステークホルダーの皆様に当社の気候変動関連情報を開示し、対話を進めることで、情報の透明性を確保するとともに、今後もステークホルダーの皆さまとの意見交換を深め、気候変動に対する取り組み及び開示の更なるレベルアップを図り、より一層、持続可能な社会の実現に貢献して参ります。

ガバナンス

 当社グループは、「優れた技術と商品・サービスにより、環境との調和を図りながら社会に貢献する」という企業理念を事業活動の基本としています。この企業理念を実践することが社会と自社の持続可能性(サステナビリティ)につながる活動であり、事業活動の基盤であると認識しており、サステナビリティ推進体制として、取締役会の下にサステナビリティ委員会、リスク・コンプライアンス委員会、環境安全・品質保証委員会を設置し、各委員会で審議した内容について取締役会で議論し、決議することで、取り組みを監督しています。

 当社は「気候変動の緩和」をマテリアリティ要素のひとつとして特定していることから、2022年度には、気候変動関連課題に特化した議論・検討を行う委員会を新たに設置する予定です。

 また、当社は「環境配慮型製品・サービスの提供」をマテリアリティ要素のひとつとして選定しており、ゼロエミッションの実現、バイオプラスチックの普及に役立つ製品等の開発に尽力しています。これらの製品の販売・投資計画等は担当部門より経営会議に付議され、承認を経て取締役会に付議されます。

サステナビリティ委員会

 気候変動を含むグローバルな社会課題により戦略的に取り組むため、重要事項などを検討・審議する組織として、サステナビリティ・IR部担当役員を委員長とし、部門担当役付執行役員をメンバーとするサステナビリティ委員会を取締役会の下に設置しています。本委員会は年2回定期的に開催され、気候変動を含むサステナビリティに関する方針、マテリアリティの選定およびKPIの設定・進捗管理、長中期計画、年次活動結果の評価および評価に基づく次年度の目標等について審議しています。

 年1回以上、経営会議にて上記内容について妥当性評価及び見直しを受けます。経営会議の承認を経て、以下の事項については取締役会に付議されます。

  • サステナビリティに関する方針の立案
  • サステナビリティに関する長中期計画・年次計画

リスク・コンプライアンス委員会

 リスクマネジメントの実効性をより高めるとともに、コンプライアンスを維持向上、推進するための機関として、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、年2回定期的に開催しています。

 本委員会は取締役会が指名するCRO(チーフ・リスクマネジメント・オフィサー)を委員長とし、CROが指名する各部門、箇所および国内連結子会社のリスク・コンプライアンス責任者(各部門長・各箇所長・各国内関係会社社長)から構成されています。

 リスク・コンプライアンス責任者は、定期的に、気候変動関連リスクを含むリスクの洗い出し・評価・対策計画立案、リスク対策実施状況・課題の自己評価、改善案の策定を行うほか、計画的に各部門、箇所および国内連結子会社にて教育、訓練等を行います。リスク・コンプライアンス委員会において上記リスクマネジメント活動および次年度活動計画について審議し、年1回以上、経営会議にて妥当性評価および見直しを受けます。経営会議の承認を経て、以下の事項については取締役会に付議されます。

  • グループ重要リスクの特定と対策
  • リスク・コンプライアンスに関する中期計画・年次計画

環境安全・品質保証委員会

 化学品の開発から製造、物流、使用、最終消費を経て廃棄・リサイクルに至る全ての過程において、「環境・健康・安全(EHS)」を確保し、その成果を公表し、社会との対話・コミュニケーションを行う自主活動であるレスポンシブル・ケア(RC: Responsible Care)活動を推進する組織として環境安全・品質保証部担当役員を委員長とする環境安全・品質保証委員会を年1回定期的に開催しています。サステナビリティ委員会と情報を共有しながら、気候変動への対応を含む長中期計画、各箇所の年度活動結果、会社全体の活動総括、および次年度のRCに関する目的、目標、行動計画を討議しています。

 年1回以上、経営会議にて上記内容について妥当性評価及び見直しを受けます。経営会議の承認を経て、以下事項については取締役会に付議されます。

  • RCに関する方針の立案
  • RCに関する長中期計画、年次計画

リスク管理

グループ重要リスクの選定プロセス

 部門の事業特性やグローバルな政治・経済・社会情勢等、ビジネスを取り巻く環境を考慮して、リスク・コンプライアンス委員会の枠組みの中で気候変動関連リスクを含むリスクの洗い出しを実施し、その後、発生可能性と事業への影響度の観点からリスク評価を実施したうえで、リスク評価結果に基づくリスクマップを作成し、「グループ重要リスク」を選定しています。その内容はリスク・コンプライアンス委員会で審議し、取締役会で決議しました。

グループ重要リスクの管理プロセス

 選定した各グループ重要リスクに対して主管部門およびリスクオーナーを決め、主管部門のリスク・コンプライアンス責任者を中心にグループ重要リスク対策計画を策定し、リスク・コンプライアンス委員会での審議を経て取締役会で決議します。また、対策の実施状況は、リスク・コンプライアンス委員会で審議し、審議の結果は取締役会に報告します。

 グループ重要リスクのひとつである台風・集中豪雨に関しては、主要工場の設備復旧の費用増や生産量の減少を招くリスクへの対応として、各工場において「2021年度までに経常利益50%を占める製品のBCP策定」をKPIと設定し、2020年度終了時点で経常利益76%を占める製品のBCP策定を完了しました。

 リスクの洗い出しおよび、事業への影響度および発生可能性の評価は定期的に実施し、グループ重要リスクを定期的に見直しています。

 リスクマップ、グループ重要リスクおよびリスクへの対策については下記ページをご覧ください。

戦略

 TCFD提言では、気候変動に起因するリスク・機会が企業の財務にどのような影響を及ぼすかを把握するため、シナリオ分析を行うことを求めています。シナリオ分析とは、地球温暖化や気候変動そのものの影響や、気候変動に関する長期的な政策動向による事業環境の変化等にはどのようなものがあるかを予想し、その変化が自社の事業や経営にどのような影響を及ぼしうるかを検討するための手法です。

 当社は、脱炭素社会への移行が実現する2℃シナリオ(移行リスクが顕著)と気候変動が進展する4℃シナリオ(物理的リスクが顕著)における事業リスク・機会の選定、重要性の検討を行い、当社への影響と戦略等について整理しました。

 分析対象範囲は当社の全事業とし、分析対象期間は長期経営計画の最終年と同じ2030年としました。

参照したシナリオ

  2℃シナリオ*1 4℃シナリオ*2
移行
リスク・機会
・IEA-WEO*3 持続可能な開発シナリオ (SDS)
・IEA-ETP*4 2℃シナリオ (2DS)
・IEA-WEO 新政策シナリオ (NPS)
物理
リスク・機会
・国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC) RCP2.6
・文部科学省 d2PDF
・国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC) RCP8.5
・文部科学省 d4PDF
  • *1産業革命以前と比較して、気温上昇を2℃以下に抑えるために必要な対策が講じられた場合のシナリオ
  • *2産業革命以前と比較して、21世紀末に世界の平均気温が4℃上昇するシナリオ
  • *3国際エネルギー機関「World Energy Outlook」(2019)
  • *4国際エネルギー機関「Energy Technology Perspectives」(2017)
リスク・機会の特定プロセス
Step1 バリューチェーンやステークホルダーを明確化し、当社事業に影響を及ぼす要因を整理
Step2 上記シナリオやその他外部情報に基づくリスク・機会の洗い出しを実施
Step3 洗い出したリスク・機会から、発生の可能性、事業へのインパクト(人的損失、財務的インパクトなど)を踏まえ、特に重要なリスク・機会を特定
シナリオ分析結果 (気候変動リスク・機会)
シナリオ 要因 社会の変化 対象
事業
事業への影響 影響度 対応策
2℃
シナリオ
・GHG排出に関する規制の強化 ・カーボンプライシングの導入 リスク ・炭素税等のカーボンプライシングの導入による操業費の増加
(但し全世界で同じ条件となる場合は、競争力の維持が可能)

(大)
・工場における原燃料転換
・硝酸製造設備能力の適正化
・省エネルギー設備等への更新
・エネルギー政策の変化
・エネルギー需要や供給量の変化
・原燃料価格の変動
・輸送コストの変動
リスク ・原燃料価格の高騰によるコスト増加
・輸送コストの増加

(中)
・環境配慮要請の高まりに伴うマーケットの変化 ・低炭素製品のニーズ増加 研究

開発
機会 ・エネルギー政策の変化による、電池材料、光電変換材料等、電気エネルギーに関連する製品の需要向上
(中)
・環境配慮型製品・サービスの開発
・適切な情報開示
・気候変動への取り組みに対する投資家等からの要請の高まり ・ESG投資の拡大 リスク
機会
・化石燃料の大量使用への批判の高まりによるESG評価や評判の悪化
・先進的な取り組みや情報開示によるESG評価や評判の向上

(中)
4℃
シナリオ
・異常気象の増加 ・豪雨/洪水の頻度・強度増大 リスク ・自然災害の増大により、工場の操業やサプライチェーンが影響を受けるリスクの増大
(中)
・各工場における主要製品のBCP策定
・台風の強度増大
(中)
・豪雪
(中)
・気温上昇・異常気象に伴うマーケットの変化 ・利用可能な水(淡水)資源の減少 機会 ・世界での飲料用水等の需要増加による、殺菌消毒剤の売り上げ増加
(中)
・環境配慮型製品・サービスの開発
・作付面積の減少 リスク ・豪雨/洪水の頻度・強度増大による作付面積の減少
・灌漑用水の確保困難による、作付面積の減少

(中)
・害虫・雑草・病原菌の増加 機会 ・新規農薬の開発機会が増加
・抵抗性の発現により、既存製品の販売に影響

(中)
・集団感染症・疾病の増加 研究

開発
機会 ・熱帯性の感染症や疾病に対する医療ニーズ拡大に伴い、対応する製品・サービスの需要増加
(中)

全:全事業  農:農業化学品事業  化:化学品事業

 シナリオ分析の結果、2℃シナリオにおいて、重要リスクとして特定されたカーボンプライシングの導入に対しては、インターナルカーボンプライシングを導入し、GHG排出削減を考慮した投資 (脱炭素投資) をさらに推進することで対応することを計画しています。また、環境配慮要請の高まりに伴うマーケット変化を受け、2016年に始動させた長期経営計画『Progress 2030』で主要事業領域のひとつとしている、環境エネルギー分野での事業機会が増加すると考えています。当社は化学業界において、これまで行ってきた脱炭素投資や製品特性により、炭素効率性が相対的に高いため、気候変動への取り組みに対する投資家等からの要請の高まりが、追い風となると認識しています。

 一方、4℃シナリオにおいて、異常気象の増加により工場やサプライチェーンが影響を受けるリスクに対しては、主要製品のBCP (事業継続計画: Business Continuity Plan) の策定及び随時見直し、重要原料の複数購買等で対応していきます。また、気温上昇・異常気象に伴うマーケット変化について、水不足や感染症などに対して、農業化学品や飲料水の殺菌消毒剤等の事業機会を獲得することができると考えています。

 当社は、「独自の革新的な技術で社会の要請に応える未来創造企業」として、長い歴史で培ったコア技術に一層磨きをかけ、人々の暮らしに役立つ新たな価値の提供に今後も取り組んでいきます。

指標と目標

 当社では、「気候変動の緩和」をマテリアリティ要素のひとつとして特定しており、レスポンシブル・ケア中期計画(2016-2021年度)において、GHG (Scope1+2) 排出量、GHG排出量原単位、エネルギー原単位の中期目標を設定しています。また、シナリオ分析の結果から、カーボンプライシング制度の導入が最も大きな気候変動関連リスクと認識しており、GHG (Scope1+2) 排出量の約95%を占める日産化学本体の排出量削減が本リスク低減に重要との観点から、2021年1月には、日産化学本体におけるGHG排出削減長期目標「2030年度までに2018年度比30%削減」を新たに設定しました。

レスポンシブル・ケア中期計画(2016-2021年度)中期目標および長期目標

カテゴリ 指標 対象
範囲
2021年度目標 2030年度目標
GHG排出量
削減
Scope1+2排出量 総量 単体 2011年度比20%削減 2018年度比30%削減
売上高当たりScope1+2排出量 原単位 単体 2011年度比40%改善
省エネルギー 売上高当たりエネルギー消費量 原単位 単体 2011年度比30%改善

 富山工場における、アンモニアの原燃料(ナフサ)(2016年度)、メラミン加熱炉の燃料(重油)(2017年度)、シアヌル酸熱媒加熱炉の燃料(重油)(2018年度)、アンモニア補助ボイラーの燃料(重油)(2020年度)の天然ガスへの燃料転換、2017年度に実施した硝酸設備能力の適正化工事による反応器からの一酸化二窒素 (N2O) の発生量の抑制、設備の能力向上、老朽化設備更新等による省エネルギー化などにより、GHG排出量を着実に減らし、2021 年度までの中期目標を全て2020年度に1年前倒しで達成しました。また、GHG排出量およびエネルギー消費量について、2018年度分から第三者検証を受審しています。

 今後も引き続きGHGの発生量削減の検討を進め、環境負荷低減を推進していくとともに、信頼性の高い情報の開示に努めていきます。

  範囲 単位 2011 2017 2018 2019 2020 目標 (目標年)
Scope1 単体 t-CO2e 369610 265014 245469 221264 216276 -
Scope2 単体 t-CO2e 79451 114865 117926 105390 102182 -
Scope1+2 単体 t-CO2e 449061 379879 363395 326654 318458 359248 (2021)
254377 (2030)
GHG排出量原単位※1
(Scope1+2)
単体 t-CO2e/
100万円
4.06 2.58 2.33 2.04 1.96 2.44 (2021)
Scope3※2 単体 t-CO2e - 763271 703562 759574 762047 -
エネルギー原単位※3 単体 ※4 100 75.5 73.8 70.8 67.9 70 (2021)
Scope1 連結※5 t-CO2e   272954 253785 228791 220243 -
Scope2 連結※5 t-CO2e   124460 128647 116724 116516 -
Scope1+2※6 連結※5 t-CO2e   397414 382432 345514 336759 -
Scope1+2 の連結に
占める単体の割合
  % - 95.5 95.0 94.5 94.6  
  • 1 排出量/売上高
  • 2 カテゴリ別データ:https://www.nissanchem.co.jp/csr_info/index/esg_data.html
  • 3 エネルギー使用量/売上高
  • 4 2011年度を100とする
  • 5 日産化学本体および、製造施設を有する連結子会社(日本肥糧、Nissan Chemical America Corporation、NCK Corporation)
  • 6 四捨五入の関係で、上段のScope 1, Scope2 の和と一致しないところがあります。

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