日産化学工業株式会社 NISSAN CHEMICAL INDUSTRIES,LTD. 採用情報サイト
私たちの化学は、続く。Never-ending Chemistry

日産化学工業株式会社 NISSAN CHEMICAL INDUSTRIES,LTD. 採用情報サイト

社員の話を聞く

研究開発(化学)農薬 N.S. 物質科学研究所 農薬研究部 高分子/薬学系 修士 2009年入社

Introduction

農薬の開発は、化合物が完成すれば終わりではない。ターゲットに効果的に作用させるために、
農薬の有効成分「原体」を、他のさまざまな成分(界面活性剤、ポリマー、溶剤、キャリアなど)と
混合、加工し、最適な処方を行う「製剤」のプロセスが必要だ。
製品を生み出すために不可欠の工程を担当するN.S.に、仕事のやりがいを聞く。

せっかくの化合物を生かすも殺すも製剤次第です。いかに優れた化合物でも、そのままでは本来あるべき農薬としての性能を発揮しません。効力を十分に発揮できるように、使い方に適した製剤にすること、それが私の仕事。原体を製品にするための最終工程です。

農薬の種類にもよりますが、たとえば10アールの面積に1キロを散布するための農薬「1kg粒剤」の中に含まれる原体は、全体の数%から多くても10数%です。そのほかの物質は、界面活性剤やポリマーなど、その原体の性能をいつでも安定して発揮させるため、そして、使用現場で適切に散布するために添加されています。

その構成は、剤の形によっても異なります。たとえば原体を水田に均一に散布するための剤の形として、水溶性のフィルムに原体を含む1ミリ程度の粒をいれた「ジャンボ剤」があります。ジャンボ剤は、散布するとまず水面に浮かびます。水溶性のフィルムが溶けると、中の粒が放出され、水田を均一に広がっていきます。広がったところで粒子が崩れ、農薬の原体の成分が水中へと移行するのです。

農薬の化合物は、約10年という長い時間と多大なコストをかけて研究開発されることから、最後を受け持つ製剤には大きな責任が伴います。また、それが私のやりがいでもあります。

製剤工程では、農薬の性能を最大限引き出すため、戦略的に処方を設計していきます。さまざまな配合で調製した剤は、生物科学研究所 農薬研究部の研究員に渡して評価をしてもらうのですが、その結果には頭を悩せることもあります。良かれと思って添加した物質が思わぬ結果を招くことがあるのです。

たとえば、水田用の農薬に使われるジャンボ剤を水面に浮かせるため、比重が軽い「浮遊基剤」を添加しますが、その添加によって農薬自体の物性が損なわれることが実際にありました。「水に浮く」という性質を持たせたために、肝心の農薬自体の性質が変わってしまっては本末転倒。このトラブルに対しては、私が新しい浮遊基剤を導入し、無事、製品化することに成功しました。新しい原材料を提案して形にし、製品にまで結びつけられたことは大きな自信にもなりましたね。

市場となる国によっては、日本では使える界面活性剤が使用できない場合もあったりします。試行錯誤の連続ですが、できあがった農薬を、試験されている圃場に見に行った時、きちんとこちらの予測通りに拡散しているのを見ると、うれしくなりますね。

最終製品に一番近い製剤の工程は、農業の現場にも一番近いと言えるのかもしれません。たとえば、消費者である農家の方にとって重要なニーズは「省力化」つまり、散布するのに手間のかからない農薬です。先ほどのジャンボ剤は、撒くだけで農薬が水田に広がってくれるので、効果が均一になるとともに、農家の方も水田内に入る手間をかけずに農薬を効果的に使用することができます。このように、製剤を通して、消費者にとって高い付加価値を持った農薬を届けていくことに、どんどん挑戦していきたいと思っています。

そのために今、医薬製剤で使われる技術の導入を考えています。私は学生時代には医薬製剤を研究対象としてきました。医薬製剤では、水への溶解性の改善や、コーティングの技術などが、非常に細かく検討されています。医薬の高度な製剤ノウハウを、少し形を変えて農薬に技術導入することは検討する価値があるはずです。そして、それはもしかすると医薬と農薬の製剤を経験してきた私にしかできないことかもしれません。

製剤の面から、新しい農薬をつくっていくこと。それがこれからの私の目標です。

私の学生・院生時代
私の学生・院生時代
水に溶けにくい有機化合物を溶けやすくする研究をしていました。具体的には、難水溶性薬物を水溶性ポリマーや界面活性剤と混合粉砕し、ナノ粒子まで微細化することで、溶解性及び消化管における吸収性を改善する研究でした。

私を取り巻く環境
私を取り巻く環境
研究所では、社員同士とても仲がいいですね。先輩には仕事の相談がしやすいですし、後輩へはいろんな機会を与えるようにしています。今は、後輩に私が持っていたテーマを共有して、進めてもらったりしています。

私のNever-ending Chemistry

私のNever-ending Chemistry
製剤で、農薬に新しい性能を与え、
農業の現場の役に立っていきたい。